子どもの食育に鯛を!縁起物を食卓に取り入れる楽しみ方
こんにちは、明石めで鯛やの女将です🐟
「食育」という言葉を聞くと、少し構えてしまいませんか。栄養バランスを教えなければ、好き嫌いをなくさなければ——そんなふうに、また一つ課題が増えたような気がしてしまいます。
けれど私は、食育というのはもっと素朴なものだと思っております。「この魚、なんでお祝いのときに出てくるの?」——そんな会話が食卓で交わされること。それも立派な食育ではないでしょうか。
この記事では、鯛という魚を通して、お子さまと食文化を楽しむ方法をご紹介します。難しい知識はいりません。どうぞ気軽にお読みくださいませ😊

1. 食育は「教える」ものではないと思います
食育というと、栄養の知識を教えることだと思われがちです。けれど幼いお子さまに「タンパク質が」と説明しても、あまり響きませんよね。
私が大事だと思うのは、もっと手前のことでございます。
食育で本当に伝わること
- 食べることは楽しいという感覚
- 食べ物には物語があるという発見
- 誰かが作ってくれているというありがたさ
- 季節や行事とつながっているという気づき
- 家族と食卓を囲むという記憶
栄養の知識は、大きくなってからでも学べます。けれど「食卓は楽しい場所だ」という感覚は、幼いころにしか育たないのではないでしょうか🐟
2. なぜ鯛が食育に向いているのか
① 物語がある魚だから
「めでたい」に通じる縁起物として、日本人が大切にしてきた魚です。なぜお祝いに出るのか——その理由を話せる食材は、そう多くありません。
② 行事と結びついているから
お食い初め、お正月、七五三、お誕生日。家族の節目に必ず登場するので、記憶と結びつきやすいのです。
③ 姿が分かりやすいから
切り身しか見たことがないと、魚の形を知らないまま育ってしまいます。尾頭付きの鯛は、「魚はこういう生き物だ」と伝えてくれます。
④ 捨てるところがないから
身を食べ、頭を煮て、骨で出汁を取る。命をまるごといただくということが、自然に伝わります。
⑤ 味がやさしいから
クセがなく、小さなお子さまにも食べやすい魚です。「魚はおいしい」という最初の経験に向いています。
3. お子さまに話せる、鯛のお話
食卓で話せる小さな話をいくつか。難しい言葉は使わなくて大丈夫です。
「めでたい」のお話
「鯛って、めでたいって言葉に似てるでしょう? だからお祝いのときに食べるんだよ」
言葉遊びから縁起物になった——日本語の面白さが伝わるお話です。
「鯛の鯛」のお話
鯛の胸ビレの付け根には、鯛の形をした骨があります。「鯛の鯛」と呼ばれる縁起物で、昔から大切にされてきました。
食べ終わったあとに探してみると、お子さまは夢中になりますよ。見つけたら洗って乾かし、お守りにする方もいらっしゃいます。財布に入れておくとお金に困らない、という言い伝えもあるそうです🐟
※「鯛の鯛」は、鯛のかぶと煮、または鯛かぶと飯セット(会員さま限定)で見つけることができます。かぶとを丸ごと使っておりますので、召し上がったあとにぜひ探してみてくださいませ。
「赤い色」のお話
「赤と白は、おめでたい色なんだよ。鯛は赤い皮に白い身、だからお祝いにぴったりなの」
紅白の由来にも話が広がります。
「長生きする魚」のお話
鯛は長生きする魚として知られています。「長生きしますようにって願いを込めて、お祝いに食べるんだよ」
敬老の日や長寿のお祝いにつながるお話です。
「お食い初め」のお話
「あなたが赤ちゃんのとき、食べ物に困らないようにってお祝いをしたんだよ。そのときも鯛だったの」
ご自身の思い出と結びつく、いちばん心に残るお話かもしれません。
4. 年齢別・食育の取り入れ方
| 年齢 | できること | 伝えたいこと |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | 一緒に食卓を囲む/おいしいと言ってみせる | 食べることは楽しい、という感覚 |
| 3〜4歳 | 魚の姿を見る/簡単な言葉で名前を覚える | これは「たい」という魚だよ、という認識 |
| 5〜6歳 | お手伝いをする/「鯛の鯛」を探す | なぜお祝いに食べるのか、という物語 |
| 小学校低学年 | 調理を手伝う/産地を調べる | どこから来て、誰が獲ったのか |
| 小学校高学年 | 一品作ってみる/食文化を調べる | 行事食の意味、命をいただくということ |
どの年齢でも共通して大事なのは、大人が楽しそうにしていることだと思います。「食べなさい」と言われるより、お父さんお母さんが「これおいしいね」と言っているほうが、ずっと効きますものね😊
5. 一緒にできる「鯛の体験」
① 「鯛の鯛」を探す
食べ終わったあとの、いちばんの楽しみです。胸ビレの付け根を探してみてください。見つけたときの歓声は、忘れられないものになります。
② 鯛めしを一緒に炊く
材料を入れてスイッチを押すだけですから、小さなお子さまでも参加できます。蓋を開ける役をお願いすると、大喜びしますよ。
③ 鍋を囲む
鯛しゃぶなら、自分で湯にくぐらせる楽しみがあります。「白くなったら食べられるよ」と教えれば、火の通り方も自然に覚えます。
④ お品書きを書いてもらう
お祝いの日に、献立を紙に書いてもらう。字が書けなくても、絵でも構いません。食卓が特別な場になります。
⑤ 「ごちそうさま」の後に感想を聞く
「どれがいちばんおいしかった?」と聞くだけで、味わうことを意識するようになります。
⑥ 産地を地図で探す
「この鯛は愛媛から来たんだよ」と地図を開く。食べ物が旅をしてきたことが伝わります。

こちらは当店の鯛の昆布〆でございます。昆布と塩だけで仕上げた一品ですが、「なぜ昆布ではさむと美味しくなるのか」という話も、お子さまには面白いようです。
「昆布のうまみが、お魚にうつるんだよ」——そんな会話から、和食の知恵が伝わっていきます🐟
6. 行事と結びつけると、記憶に残ります
日常の食事はなかなか記憶に残りませんが、行事の食卓は覚えているものです。
| 行事 | 伝えられること |
|---|---|
| お正月 | 一年の始まりを祝う気持ち/おせちの由来 |
| ひな祭り | 子どもの健やかな成長を願う心/ちらし寿司の彩り |
| お誕生日 | 生まれてきたことを喜ぶ/家族の記念日 |
| 七五三 | 成長の節目を祝う文化/昔の子育て事情 |
| 敬老の日 | 年長者を敬う気持ち/長寿への願い |
| お食い初めの写真を見る | 自分が大切にされてきたという実感 |
特におすすめしたいのが、お食い初めの写真を一緒に見ることです。「あなたのときも鯛を用意したんだよ」と話すと、お子さまは自分が祝われてきたことを知ります。これ以上の食育はないのではないでしょうか🐟
7. 魚が苦手なお子さまへ
「うちの子、魚を食べないんです」——よくうかがうお悩みです。
苦手の理由と、できる工夫
- 骨が怖い → 骨のない切り身や、ほぐした料理から。鯛めしなら安心です
- においが苦手 → 鯛は生臭さが少ない魚です。新鮮なものを選んで
- パサパサする → しゃぶしゃぶや煮物など、しっとりした料理で
- 見た目が苦手 → 炊き込みご飯なら、魚だと意識せずに食べられます
- 食べ方が分からない → 大人が食べて見せるのがいちばんです
それでも食べないときは、無理強いしないことだと思います。嫌な記憶になってしまうと、かえって長く苦手になってしまいますから。
「今日は食べなくてもいいよ」と言いながら、大人がおいしそうに食べている。そのうち「ちょっとちょうだい」と言い出す日が来ます。急がなくて大丈夫でございます😊
8. 「いただきます」の意味を伝える
最後に、いちばん伝えたいことを。
「いただきます」という言葉には、命をいただくという意味があるとされています。魚も、野菜も、お米も、すべて生きていたもの。それを分けてもらって、私たちは生きているのですね。
尾頭付きの鯛や、かぶとを使ったお品は、この話をするのにうってつけです。目があり、口があり、ヒレがある。切り身では伝わらないことが、姿のままなら伝わります。
こんなふうに話してみては
- 「この魚も、さっきまで海で泳いでたんだよ」
- 「漁師さんが獲って、運んでくれて、うちに届いたんだね」
- 「だから残さないで、ありがとうって食べようね」
- 「頭も骨も、全部食べられるんだよ。もったいないもんね」
説教にならないよう、さらりと。毎回言わなくても、時々でいいのだと思います。積み重なって、いつか腑に落ちる日が来ますから🐟
ご家族でお楽しみいただけるお品
9. まとめ
この記事のポイント
- 食育は知識を教えることより、「食卓は楽しい」という感覚を育てること
- 鯛は物語があり、行事と結びつき、姿が分かりやすい食材です
- 「めでたい」「鯛の鯛」「紅白」など、話せるお話がたくさんあります
- 「鯛の鯛」は、鯛のかぶと煮や鯛かぶと飯セットで見つけられます
- 大人が楽しそうに食べていることが、何よりの食育になります
- 魚が苦手でも無理強いしないこと。急がなくて大丈夫です
- 尾頭付きの魚は「いただきます」の意味を伝えてくれます
お子さまが大きくなったとき、どんな食卓を思い出すでしょうか。
豪華な料理ではなく、家族で笑いながら鍋を囲んだ夜。「鯛の鯛」を見つけて大騒ぎした日。そんな何気ない場面が、案外いちばん残るのかもしれません。
食育は、特別なことをしなくていいのだと思います。どうぞ楽しい食卓を🐟😊










女将のひとこと
当店の鯛は、脂のりのよい愛媛の鯛を使っております。「明石めで鯛や」という名前ですが、これは明石の料亭で受け継がれてきた味づくりに由来するもので、魚そのものの産地は愛媛でございます🐟
実はこれ、お子さまへの食育にもちょうどよいお話なのです。
「お店の名前は明石だけど、お魚は愛媛から来てるんだって」——そんな会話から、食べ物がどこから来るのか、誰が育てて、誰が運んでくるのかという話に広がっていきます。
食べ物の向こうに人がいると知ることは、「いただきます」の意味を知ることでもありますものね😊