鯛の潮汁(しおじる)の作り方!シンプルで奥深い一番だしの引き方

鯛の潮汁(しおじる)の作り方!シンプルで奥深い一番だしの引き方

こんにちは、明石めで鯛やの女将です🐟
白状しますと、私は潮汁が大好物でございます。鯛料理はどれも好きですが、なかでも潮汁は別格。あの澄んだ汁をひと口すすったときの、体の芯までしみわたる感じ。あれにかなうものは、そうそうございません。
材料は鯛のアラと水と塩だけ。それなのに、なぜあんなに美味しいのでしょうね。
この記事では、潮汁の作り方と、澄んだ美しい汁に仕上げるコツをお伝えします。あわせて、私が自宅でやっている「たっぷり食べる潮汁」もご紹介しますね😊

目次

1. 潮汁(うしおじる)とはどんな料理?

潮汁は、魚のアラを使って出汁をとり、塩だけで調味する澄まし汁のこと。「うしおじる」と読みます。「しおじる」と読まれる方も多いですね。

名前の由来は、海水(潮)で煮たようなシンプルな味つけから、と言われています。味噌も醤油も使わず、魚から出た旨味と塩だけ。だからこそ、素材の良し悪しがそのまま出るのです。

鯛の潮汁は、お食い初め、結婚のお祝い、お正月——ハレの日の食卓に欠かせない一品でもあります。鯛は「めでたい」に通じる縁起物ですから、祝いの席の椀物として長く親しまれてまいりました🐟

2. 材料と、使うアラの選び方

材料(4人分の目安)

  • 鯛のアラ(かぶと・カマ・中骨)……400〜500g
  • 水……1リットル
  • 塩……小さじ1〜1と1/2(味を見ながら)
  • 酒……大さじ1〜2(お好みで)
  • 昆布……10cm角1枚(お好みで/後述します)
  • 三つ葉……1束

アラは部位によって出る出汁が違います。せっかくなら、いろいろ混ぜるのがおすすめです。

部位 出汁の特徴 食べるところ
かぶと(頭) 脂とゼラチン質が多く、コクのある濃い出汁 目の周り、ほほ肉。いちばんのご馳走です
カマ 脂がのっていて旨味が強い 身がたっぷり。食べ応えがあります
中骨 すっきりと澄んだ、上品な出汁 骨の間の身を、箸でこそげて

※かぶとは、包丁で縦半分に割っておくと出汁が出やすく、食べやすくもなります。硬いので、無理をせず魚屋さんにお願いするのも手です。

※鯛のアラは、鮮魚店やスーパーの鮮魚コーナーで手に入ります。安価なわりに良い出汁が出ますので、見かけたらぜひ。なお当店では現在お取り扱いがございませんが、ご要望があれば検討したいと思っております。

3. 霜降り|ここを省くと濁ります

潮汁でいちばん大事な工程が、この霜降りです。ここを省くと、汁が濁り、生臭さが残ってしまいます。逆にここさえ丁寧にやれば、失敗はほとんどありません。

霜降りの手順

  •  アラに塩を軽く振り、15分ほど置く(臭みの水分が出ます)
  •  鍋にたっぷりの湯を沸かし、火を止めて少し落ち着かせる
  •  アラを入れ、表面が白くなったらすぐに引き上げる(10〜20秒程度)
  •  すぐに冷水(氷水)にとる
  •  ウロコ・血合い・ぬめりを、指先で一つひとつ取り除く
  •  流水で洗い、水気を切る

⑤が地味で面倒な作業なのですが、ここが潮汁の味を決めます。骨と骨の間、エラの奥、目の周り。指先で探るように、丁寧に。

煮立った湯にどぼんと入れて煮てしまうと、たんぱく質が固まって汚れが閉じ込められます。あくまで表面を軽く霜が降りた程度に、というのが名前の由来でもございます😊

4. 出汁の引き方|火加減がすべて

手順

  •  鍋に水とアラ(お好みで昆布も)を入れ、水から火にかける
  •  弱めの中火でゆっくり温度を上げる
  •  沸く直前に昆布を引き上げる
  •  浮いてきたアクを、こまめにすくう
  •  沸騰させず、表面がゆらぐ程度の火加減で10〜15分
  •  酒を加え、塩で味を調える

要は「煮立てない」。この一点です。

ぐらぐら煮立てると、脂とアクが汁に混ざり込んで白く濁ってしまいます。潮汁の身上は、あの琥珀色の澄んだ汁。沸騰する手前で、ずっと踏みとどまるように火を見ていてください。

アクは、浮いてきたそばからすくいます。面倒でも、ここを怠ると雑味が残ります。だんだん澄んでいく鍋を眺めるのも、なかなか楽しいものですよ🐟

5. 味つけと、仕上げの吸い口

味つけは塩だけ。醤油を数滴垂らして香りを立たせる方もいらっしゃいますが、まずは塩だけで味わってみてください。鯛の旨味がまっすぐ伝わります。

塩は少しずつ、味を見ながら。アラの量や脂ののりで、必要な量は変わります。「もう少し足りないかな」というくらいで止めておくと、飲んでいるうちにちょうどよくなります。

女将のひとこと|三つ葉は絶対です

吸い口は、私は三つ葉一択でございます。これだけは譲れません😊
木の芽も柚子も上品で結構なのですが、鯛の潮汁にはやっぱり三つ葉。あの青い香りが、脂の甘みをすっと引き締めてくれるのです。しかも食感がまたよいのですよね。
入れるのは、お椀によそう直前。熱い汁を注いでしんなりさせるくらいがちょうどよく、煮込んでしまっては香りが飛んでしまいます。結んで入れると見た目も美しくなりますが、私は豪快にざく切りで、たっぷり入れる派です🐟

6. 女将流|大きなお椀で、たっぷり食べる潮汁

料亭の潮汁は、小ぶりのお椀に中骨がひとかけ、というのが定番です。あれはあれで美しく、お品書きの流れのなかでは正解なのだと思います。

でも、私が家で作るときは違います。大きなお椀に、カマも中骨もかぶとも、ごろごろと。汁物というより、もう一品のおかずのつもりで出します。

だって、もったいないではありませんか。鯛のアラには、まだたっぷり身がついているのです。カマの身をほぐし、骨の間を箸でこそげ、ほほ肉を掘り出して。食べるところを全部いただいてこそ、鯛への礼儀だと思っております。

たっぷり潮汁のコツ

  • 器は大きめに:汁椀ではなく、丼や大ぶりの鉢で
  • アラは多めに:4人で400〜500gを目安に、遠慮なく
  • 三つ葉もたっぷり:ひとつまみではなく、ひとつかみで
  • 骨の器を添える:食べた骨を置くお皿を、各自の手元に
  • 手を使ってよし:かぶとは箸だけでは食べきれません。どうぞ遠慮なく

行儀は少し悪いかもしれませんが、家の食卓ですもの。無言でかぶとをほじっているときの、あの静かな幸せをぜひ味わってみてください😊

7. 昆布は入れる?入れない?

よくいただくご質問です。正直に申しますと、私は入れたり入れなかったりでございます。

昆布を入れる場合

旨味に厚みが出て、味が安定します。アラが少ないときや、すっきりした中骨だけのときは、昆布があると物足りなさがありません。迷ったら入れておいて大丈夫です。

昆布を入れない場合

鯛の出汁だけの、まっすぐな味になります。脂ののったかぶとやカマがたっぷりあるときは、昆布がなくても十分。むしろ鯛の香りが際立ちます。

どちらが正解ということはございません。その日のアラの状態と、気分次第。料理はそのくらいの気楽さでいいと思っております🐟

※昆布を使うときは、沸く直前に引き上げてください。煮立てるとぬめりと雑味が出ます。

8. アラが余ったら|赤出汁・お味噌汁にも

潮汁ではありませんが、私は家で鯛のアラを赤出汁やお味噌汁に入れることもよくあります。

これがまた美味しいのです。特に赤出汁。八丁味噌のこっくりした味と、鯛の上品な出汁が思いのほか合うのですよね。アラの量が中途半端なときや、澄まし汁の気分ではない日に重宝します。

鯛アラの赤出汁

霜降りまでは潮汁と同じ。出汁が出たら赤味噌を溶き入れ、粉山椒をひと振り。三つ葉か青ねぎを散らして。味噌は煮立てないのが鉄則です。

鯛アラのお味噌汁

合わせ味噌でも十分美味しくいただけます。大根やねぎを一緒に炊くと、体の温まる一杯に。翌朝のお味噌汁にすると、また格別です。

霜降りさえきちんとしておけば、何にでも化けてくれるのが鯛のアラのありがたいところ。捨てるところがない魚だと、つくづく思います😊

9. よくある失敗と、その直し方

× 汁が白く濁った

煮立てたことが原因です。潮汁としては惜しいですが、味噌を溶いてお味噌汁にすれば美味しくいただけます。次回は火加減を弱めに。

× 生臭さが残る

霜降りの後の掃除が不十分だった可能性が高いです。血合い・ウロコの取り残しを、次回は指先で丁寧に。酒を少し多めに入れるのも助けになります。

× 味がぼやける

アラの量が少ないか、煮出す時間が短いことが原因です。昆布を足す、または少し長めに煮出してみてください。塩を足す前に、まず旨味を疑うのがコツです。

× ウロコが浮いている

霜降りのときに取り切れなかったものです。汁をこして取り除けば大丈夫。次回は霜降り後の確認を念入りに。

10. まとめ

この記事のポイント

  • 潮汁は魚のアラと塩だけで作る澄まし汁。素材の良し悪しがそのまま出ます
  • いちばん大事なのは霜降り。湯通し後の掃除を丁寧に
  • 火加減は絶対に煮立てない。表面がゆらぐ程度で10〜15分
  • アクはこまめに。塩は少しずつ、味を見ながら
  • 吸い口は三つ葉がおすすめ。よそう直前に、たっぷりと
  • 昆布は入れても入れなくてもよし。アラの状態と気分で決めてください
  • 余ったアラは赤出汁やお味噌汁にも。捨てるところがありません

女将から、ひとつご相談です

ここまで潮汁の作り方をお伝えしてまいりましたが、「そもそも鯛のアラはどこで買えばいいの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は当店では、いまのところ鯛のアラを商品としてはお出ししておりません。ただ、毎日鯛をさばいておりますので、かぶとや中骨は必ず出ます。正直に申しますと、あれだけ良い出汁が出るものを毎日見ていると、もったいないなあと思うことがあるのです。
もし「鯛のアラがあれば買いたい」というお声がありましたら、ぜひお聞かせくださいませ。ご要望が集まるようでしたら、販売を考えてみたいと思っております🐟
お客さまのお声から生まれる商品も、あっていいですものね😊

潮汁のいいところは、特別な技術がいらないことです。必要なのは、丁寧な霜降りと、煮立てない辛抱強さだけ。
そして何より、よい鯛を使うこと。当店では脂のりのよい愛媛の鯛を使っております。鯛のかぶと煮鯛しゃぶで鯛の味をご存じの方なら、その出汁の力もきっとお分かりいただけるはずです。
大きなお椀に、たっぷりと。ぜひ一度、作ってみてくださいませ🐟😊

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